3歳 4歳 5歳 600L AD(読み聞かせむき)

The Runaway Bunny

文 Margaret Wise Brown絵 Clement Hurd
Print length 32 pages出版年月日 1942
AD 600L
3-5歳

ぼくにげちゃうよ

1. あらすじ

『The Runaway Bunny』は、1942年に初版が発行されたクラシックな絵本です。物語の主人公は、ある日「ぼくはにげるんだ!」と言い出した小さなうさぎ。彼は魚になり、山の岩になり、花になり、鳥になり、さらには船やサーカスのアクロバットなど、次々に違うものへと変身して逃げようとします。

しかし、お母さんうさぎはそのたびに「あなたが○○になるなら、私は××になってあなたを見つけるわ」と優しく語りかけます。小さなうさぎは次第に、お母さんの愛からは決して逃れられないことを悟り、最終的には「やっぱりお母さんのそばにいるよ」と帰ってくるのです。

この物語では、モノクロの線画と鮮やかな色彩のページが交互に登場し、視覚的にも楽しめる構成になっています。


2. 読んだ感想

『The Runaway Bunny』を読んで、母親の無条件の愛というものを改めて感じました。小さなうさぎは、子どもなら誰もが持つ「自分は自由になりたい」という願望を象徴しているように思えます。一方で、お母さんうさぎの「あなたがどこへ行っても、何になっても、私は必ずあなたを見つけるわ」という言葉は、深い安心感を与えてくれます。

この絵本を子どもに読み聞かせると、彼らは主人公の「逃げたい」という気持ちに共感しながらも、お母さんの変わらぬ愛情に安心するようです。私自身も、読んでいるうちに「親とはこういう存在なのだ」と胸が温かくなりました。ある読者の方が「妻が涙を流しながら子どもに読んでいた」と語っていたように、大人が読んでも感動する作品です。

また、絵本のなかで、うさぎがさまざまなものに変身して逃げようとする場面は、子どもの想像力を刺激します。実際に、子どもたちと一緒に紙のパペットやうさぎの耳を作り、物語のシーンを再現して遊ぶことで、より深く物語に入り込めました。

この絵本は、子どもたちに「どんな時も親の愛は変わらない」と伝えるとともに、大人にも「子どもにとって親の存在がどれほど大きいのか」を改めて気づかせてくれる、まさに「シンプルだけれど深い」物語だと思います。


3. 作者について

この作品の著者は マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown)、イラストは クレメント・ハード(Clement Hurd)が手がけています。

マーガレット・ワイズ・ブラウンは、1940年代から1950年代にかけて多くの名作絵本を生み出したアメリカの作家です。彼女の代表作には、『Goodnight Moon(おやすみなさいおつきさま)』や『My World』などがあります。『The Runaway Bunny』は、それらの作品と並ぶ「クラシック・シリーズ」として愛されています。

この絵本には、『Goodnight Moon』とのつながりもあります。『The Runaway Bunny』の中に描かれている「月を飛び越える牛」のイラストは、『Goodnight Moon』でも登場しており、絵本の世界観がさりげなくリンクしています。また、『Goodnight Moon』の部屋の中には、『The Runaway Bunny』の絵本が描かれているのも面白いポイントです。

また、『The Runaway Bunny』は、2021年にHBO Maxでアニメーション化され、女優のトレイシー・エリス・ロスがナレーションを担当しました。さらに、オーケストラと朗読を組み合わせたコンサート作品や、舞台ミュージカルなど、多くのメディアで親しまれています。


4. おすすめのポイント

親子で安心感を共有できるストーリー
「どんなに遠くへ行っても、どんな姿になっても、親の愛は変わらない」というメッセージが込められた温かい物語。読み聞かせることで、子どもに安心感を与えることができます。

美しいイラストと独特の構成
モノクロの線画とカラーページが交互に登場する構成が、視覚的なリズムを生み出し、物語をより魅力的にしています。

子どもの想像力を刺激する
うさぎが次々と違うものに変身していく展開は、子どもたちの想像力をかきたてます。物語に合わせて遊びを取り入れることで、より楽しめるでしょう。

世代を超えて愛される名作
1942年の初版以来、多くの親子に読み継がれてきた作品。親世代が子どものころに読んだ絵本を、次の世代に受け継ぐことができる点も魅力です。


まとめ

『The Runaway Bunny』は、子どもたちの「自立したい」という気持ちを優しく受け止めながら、親の「無条件の愛」を描いた素晴らしい作品です。そのシンプルながらも力強いメッセージは、大人が読んでも心に響きます。

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