200L 3歳 4歳 5歳

We're Going on a Bear Hunt

文 Michael Rosen絵 Helen Oxenbury
Print length 28 pages出版年月日 1993/9/16
280L
3-5歳

きょうはみんなでクマがりだ

1. 本の紹介

『We’re Going on a Bear Hunt』は、1989年にイギリスで出版されたマイケル・ローゼン作、ヘレン・オクセンバリー絵の絵本です。出版以来、多くの賞を受賞し、世界中の子どもたちに愛されています。2014年には著者自身の朗読による「世界最大の読み聞かせイベント」が開催され、1,500人の子どもたちが直接参加し、さらに30,000人がオンラインで視聴するというギネス記録も達成しました。こちらの様子はyoutubeで視聴できます。表情豊かに力強く読み聞かせをしてくれるので、英語が母国語でなくてもストーリーは十分伝わります。

2.あらすじ

物語は、4人の子どもと赤ちゃん、そして犬が、ある晴れた日に「クマ狩りに行こう!」と冒険に出かけるところから始まります。

彼らは、次のようなさまざまな地形を通り抜けて進みます。

  • 長くてふさふさした草原
  • 冷たく深い川
  • どろどろのぬかるみ
  • 暗くて大きな森
  • 風が吹き荒れる雪嵐

そして、ついに 暗くて狭い洞窟 にたどり着いたとき、クマに出会います!驚いた子どもたちは大慌てで引き返し、通ってきた障害を次々に乗り越えながら全速力で家へ戻ります。家にたどり着くと急いでドアを閉め、クマを締め出して、布団の中に隠れて一言── 「もうクマ狩りには行かないよ!」

しかし、最後のページでは、寂しそうに夜の浜辺を歩くクマの姿が描かれています。この浜辺は、表紙で描かれていた昼間の明るい浜辺と同じ場所であり、物語の始まりと終わりが静かにつながっていることがわかります。

物語は 「リズミカルな繰り返しのフレーズ」 が特徴で、読み聞かせにぴったり。各障害を前にしたときの決まり文句──

We can't go over it.
We can't go under it.
Oh no! We've got to go through it!

といった言葉のリズムが楽しく、子どもたちは自然と声を合わせて楽しむことができます。


3. 読んだ感想

この絵本の最大の魅力は 「冒険のワクワク感」と「スリル」 です。子どもたちは「クマを探しに行く」という単純な目的のもと、さまざまな障害を乗り越えながら進みますが、その過程で 「探検する楽しさ」「何が起こるかわからないドキドキ感」 を味わうことができます。

特に、最後のクマとの対面シーンでは、これまで楽しく進んでいた冒険が一転して「大パニック」になります。ここで 「自分たちはクマを探しに行ったのに、いざ見つけたらどうすればいいの?」 という、子どもらしいリアルな反応が描かれているのが面白いポイントです。

また、 「家に戻ったときの安心感」 もこの絵本の大事なテーマです。クマに追いかけられながら必死に家に戻り、最後は布団の中で一息つく── 「家は安全な場所」 というメッセージが込められており、子どもたちはこの結末に安心感を覚えるでしょう。

さらに、 「絵の美しさ」 も魅力の一つです。水彩画の柔らかな色合いと、各障害の前に描かれる白黒の線画が交互に使われることで、物語に独特のリズムが生まれています。子どもが想像の世界に入り込みやすくなっているのも、この絵本の素晴らしい点です。

読み聞かせると、最後の「家に帰るシーン」では 子どもたちは爆笑! 一緒に「急げー!」と叫びながらページをめくる楽しさは格別です。


4. 作者について

マイケル・ローゼン(Michael Rosen)は、イギリスの詩人・作家・パフォーマーであり、子ども向けの詩や絵本で知られています。彼はこの物語の元となったアメリカのフォークソングを知り、それをもとに『We’re Going on a Bear Hunt』を執筆しました。

ヘレン・オクセンバリー(Helen Oxenbury)は、この絵本のイラストを担当した画家で、彼女自身の子どもたちをモデルにキャラクターを描きました。犬のキャラクターも、実際に彼女の家にいたペットがモデルになっています。彼女の執筆した『ケーキがやけたらね』もおすすめです。

本作は 1989年のネスレ・スマーティーズ賞 を受賞し、日本を含む世界中で翻訳・出版されました。特にイギリスでは「親子で楽しむ定番絵本」として、多くの家庭で親しまれています。


5. おすすめのポイント

1. 読み聞かせが楽しい!リズミカルな言葉の繰り返し

「We’re going on a bear hunt!」「We’re going to catch a big one!」 など、音のリズムが楽しいフレーズが満載。子どもたちは自然と一緒に声を出して参加し、絵本の世界に引き込まれます。

2. 冒険のドキドキ感がたまらない

「クマを探しに行く!」というワクワク感と、「クマを見つけた!」ときのスリルが絶妙に描かれています。

3. 家に帰ったときの安心感

クマに追われながら家に戻る大騒ぎのシーンは笑いを誘いますが、最後は布団の中でほっと一息。子どもに 「家は安心できる場所」 という気持ちを伝えられます。

4. 美しいイラストと独特の構成

水彩画と白黒の線画が交互に使われ、物語にリズム感をもたらしています。

5. 和訳版と英語版で読み比べる楽しさ

擬音やリズミカルなフレーズが魅力なので、英語版と日本語版を読み比べるとより楽しい!

-200L, 3歳, 4歳, 5歳